シルク、絹。どのようなイメージをお持ちですか? シルクのブラウスやスカーフが醸し出す、どことなくエレガントな雰囲気。女性なら1つは持っていたいものです。とはいえデリケートな素材のため、「お手入れが大変そう」としり込みしている方もいらっしゃるのでは?

そこで今回はちょっと気になるシルクについて、その特徴とお手入れ方法をご紹介します。

蚕から生まれる繊維・シルク

シルクは蚕(かいこ)が吐き出した糸で作った繭を原料とした天然繊維。繭糸を取り出し、撚り合わせて生糸(きいと)ができあがります。そのおもな成分はたんぱく質。その中でも主要な成分のフィブロインやセリシンがつながることで、シルク独特の光沢を生み出しています。

また、フィブロインは10数種類のアミノ酸が結合してできたたんぱく質。その成分は、人間の肌に近いとされています。下着や肌着、パジャマなどにもシルクが使われていますが、理想的な素材といえるでしょう。化粧品やヘアケアグッズにも応用されているのも納得です。

シルクの主な特徴~長所と短所

光沢となめらかさ

なんといってもシルクならではの美しい光沢と、肌に吸いつくようななめらかさが最大の魅力。天然繊維の中ではもっとも長く、細いという繊維の特長のたまものです。その反面、摩擦に弱いという短所も。毛羽立ちや擦り切れに注意が必要です。

吸湿性&放湿性

実はコットンの約1.5倍 の吸湿&放湿性を持っているシルク。素早く汗を吸収・発散するので、体温調節に優れ、快適な状態に保ちます。また吸湿性には静電気を起こしにくいというメリットも。

フィブロインの驚くべき効果~紫外線ブロックと保温性

凹凸のあるフィブロイン内側には細かい空洞があります。この構造がポイント。

紫外線ブロック

表面の凹凸が日光を反射させることと、繭自体が蚕を守るため紫外線を吸収するという性質があるためです。ただし、シルク自体は黄変(黄ばみ)してしまうという弱点が。人間のお肌と同様、紫外線の影響は避けられません。

保温性

また、空洞に空気を貯えるので保温性が高いこともメリット。ただしその空洞と吸湿性があいまって、繊維の中に水を取り込みやすくなります。洗濯方法によっては型くずれが生じることも。正しいお手入れ方法は、次のコーナーでご紹介します。

シルクのお手入れポイント

洗濯前に要チェック

取扱い表示タグのチェック

手洗いが基本ですが、メーカーの開発により、「洗えるシルク」「ウォッシャブルシルク」も出そろってきています。その場合は洗濯機の使用がOK。ただし温度やコースに注意が必要です。

色落ちチェック

洗いたいものに洗剤を直接つけて、白い布で軽くたたいて色移りがしないかどうかを確かめましょう。色がついてしまう場合はクリーニングにおまかせしましょう。

シルクの洗濯手順

手洗いの場合

▽ごくぬるい温度(20~30℃)のぬるま湯に、おしゃれ着用の中性洗剤を溶かす
▽洗濯するものを裏返しにして洗剤液へ投入
▽やさしく押し洗い、もしくは振り洗い
▽同じくらいの温度のぬるま湯か水道水で、泡がなくなるまですすぐ
▽手で絞るのは× タオルで水分をふき取る (30秒くらい、ごく短く脱水しても可)
※水に触れている状態を短くするため、手早く行ないましょう

手洗い方法については、こちらの記事も参考にどうぞ↓

洗濯物の3つの手洗い方法。基本を抑えて大切な衣類を守ろう

洗濯機使用OKの場合

▽裏返しにして、たたんで洗濯ネットに入れる
▽洗剤はおしゃれ着用の中性洗剤を
▽洗濯機の一番ソフトなコース(おしゃれ着コースなど)を選択
▽脱水は短く、最長で30秒くらい

前述の通り、シルクの主な成分は人肌と同じ「たんぱく質」です。お肌をゴシゴシこするのはNGで、汚れはきちんと落としつつ、うるおいをキープするのがスキンケアの基本。シルクも素材に合った洗剤をチョイスし、なるべく刺激や摩擦を起こさないようにやさしく洗うのがポイントです。お肌や髪のお手入れと同じと考えてみてはいかがでしょうか?

干し方と仕上げ

▽タオルドライ後、もしくは脱水後すぐに取り出して、陰干しで自然乾燥(※直射日光は厳禁)
▽アイロンをかける場合は、あて布をあて低温で素早く

保管の注意

たんぱく質ゆえに、虫食いには充分に気をつけたいところ。部分汚れが残らないように洗い、充分に乾燥させてからしまいましょう。防虫剤を使用するなど、対策はしっかりと。

まとめ

いかがでしたか? シルクは素材としての魅力もさることながら、機能性にもすぐれているんです。女性もののイメージが強いですが、ネクタイは基本的にシルク製ということを考えれば、男性にも身近な素材です。お手入れにはコツが入りますが、まずは洗えるシルクから取り入れてみてはいかがでしょうか。