私たちはさまざまなモノに囲まれて暮らしています。そしてそのモノたちはさらにさまざまな素材から作られています。また、その素材が使われているのには理由があります。
その中でも今回は、肌触りと着心地がよい「麻」について取り上げます。人類がもっとも長く使用してきたという「麻」。
その歴史は1万年にも及ぶとか。衣類として人体を、麻袋として食料を、道具としてさまざまなものを守り続けてきました。余談ですが、棺の中のミイラは麻でくるまれているそうです。そんな気が遠くなるほど長い付き合いの「麻」について、改めて見ていきましょう。
麻の種類
「麻」とは、植物に含まれている繊維の総称のこと。数十種にも及ぶそうですが、主なものはこちらの5種類になります。
1. リネン
衣料や包装資材などに使われているもの
2. ヘンプ
主に衣料やロープなどに使われているもの
3. ラミー
衣料や寝具、包装資材に使われているもの
4. ケナフ
パルプの代用となるもの
5. ジュート
財布やバッグ、敷布、包装資材になどに使われているもの
麻の特徴
ここではリネンとラミーの主な特徴を挙げてみましょう。
●繊維が強い
天然繊維の中では最強。丈夫で長持ち。10年使い込む人もいるとか
●通気性がよい
熱伝導性が高いため、体温が高くなっても放熱効果で涼しく感じられる
●速乾性あり
水分の吸湿と発散が早いので、汗ばむ季節でもべとつかない
●独特の風合い
控えめな光沢感。洗いこむと出てくる柔らかさと味わい。いずれも麻ならでは
●混紡で魅力アップ
綿・ウール・化学繊維とミックスしても、長所を保ちつつ融合できる
◆シワになりやすい
麻にまつわるネガティブな印象・No.1かもしれません。変形すると元に戻りにくい性質のため、どうしてもシワが寄ってしまいます。
自然なシワを味わいとして楽しめるのも、麻の魅力の1つです。ただし、不自然なシワはだらしなく見えてしまうことも。
そこでお手入れのポイントを紹介しましょう。
麻のお手入れ方法とメンテナンスのコツ
どの工程でも、いかにシワと摩擦を防ぐかがポイントです。何はともあれ洗濯表示タグを確認。洗濯機の使用がOKか、手洗いのみかをチェックしましょう。
■洗濯の手順
洗濯表示タグに洗濯機使用OKの絵表示がある場合
用意するモノ
・蛍光剤が入っていない洗剤(いわゆるおしゃれ着用の洗剤が安心)
※汗ジミや黄ばみが気になる箇所には、酸素系の液体漂白剤の使用は可
・洗濯ネット
手順
1. 洗濯ネットに洗濯物を入れる
摩擦による毛羽立ちを防ぐため、マストです
2. 洗濯物をつめ込まず、多めの水を洗濯機に入れる
3. ドライコース、手洗いコースなど、標準よりもソフトなコースで洗う
洗濯表示タグに手洗いの絵表示がある場合
用意するモノ
・蛍光剤が入っていない洗剤(いわゆるおしゃれ着用の洗剤が安心)
※汗ジミや黄ばみが気になる箇所には、酸素系の液体漂白剤の使用は可
・洗濯ネット
・洗面器などの容器
1.水または30℃以下のぬるま湯を容器に入れ、蛍光剤不使用の洗剤で押し洗いする
※擦ったり揉んだりしてはいけません。あくまでもやさしく
2.容器の水を入れ替え、洗剤の泡がなくなるまで押し洗いをしながらすすぐ
洗濯後の手順
1.脱水時間は短くてOK。高速回転に入ってから数秒、トータル15~20秒くらいしたら洗濯機から取り出す
2.少し濡れたままの状態で干す
「ぬれ干し」がベストです。洗濯物の重みでシワが伸びるため、アイロン不要の仕上がりになります(※ただしパリッとさせたい方は、アイロンをかけてください)
干し方のコツ
日光で変色してしまうため、必ず陰干しをしましょう。また、乾燥機やタンブラーの使用はNGです。
アイロンをかける場合
生乾きの状態でアイロンをかけると効率がよいです。
乾いてしまったものは、霧吹きで水分を含ませながらかけましょう。
まとめ
いかがでしたか? ちょっとクセがありますが、それを補って余りある良さを兼ね備えた「麻」。最近では洗いざらしOKなど、メンテナンスしやすい麻アイテムも増えています。
そのままのラフな雰囲気もよし、アイロンをかけてシャキッとさせるのもよし。お手入れのポイントを押さえて、どんどん使っていきたいですね!
laundrich